[原子力産業新聞] 2008年1月7日 第2410号 <4面>

年頭所感 岸田 文雄 内閣府特命担当大臣(科学技術政策)

新年あけましておめでとうございます。

現在我々は、地球温暖化、エネルギーの安定確保、水・食糧問題など、地球規模の課題に直面しています。資源に乏しい我が国が今後とも経済成長を持続的に発展させていくためには、これらの問題を早急に解決することが重要ですが、これには「原子力」が非常に有効な手段の1つであることはいうまでもありません。我が国がこれまで進めてきた原子力の平和利用を各国に浸透させ、世界に貢献していくことが我が国に課せられた重要な使命であると認識しています。

昨年閣議決定された「イノベーション25」においても、環境・エネルギー技術を中核とした経済成長を図るために必要な技術開発や人材育成を推進する必要性がうたわれています。

さて、昨年は、原子力に対する「信頼」について、これまで以上に焦点が当たった年でした。原子力の利用に当たっては安全確保に基づいた国民からの信頼が大前提となります。

しかし、昨年は隠蔽されていた過去のデータの改ざんが発覚したり、新潟県で発生した中越沖地震においては設計基準値を大きく超える揺れを観測し、また、運転中の原子炉は安全に停止したものの、適切な情報提供のあり方に課題を残しました。このように、立地地域の皆様に大きな不安を与えたことは極めて残念なことです。

事業者においては、事故や安全な運転に影響を与えるような事象が発生した際には、根本的な原因分析を行って、抜本的な対策を講じることが必要です。また、同時に、その対策の内容や実施状況について、国民や地域社会に対して迅速かつ的確な情報提供を行い、理解を深めて頂くことが重要です。このような努力を通じて国民の信頼を再構築していくことが求められており、事業者においてしっかりと取り組んで頂きたいと思います。

昨年12月、私は、アジア10カ国が参加して開催されたアジア原子力協力フォーラム(FNCA)に議長として出席しました。

本会合では、原子力発電をクリーン開発メカニズム(CDM)の対象とするなど、地球温暖化対策としてその促進を図ることや、核不拡散、原子力安全及び核セキュリティの確保に努めることなどについて、今後協力していくことで合意し、共同コミュニケを発表しました。

地域レベルで原子力発電の導入促進について声明を出すのは世界でも初めてのことであり、非常に意義の高い会合であったと感じています。今後は、アジア地域の原子力の平和利用にかかる取組が一層活発になるよう、国際社会に対して本コミュニケのメッセージを発信していきたいと考えています。

また、現在、原子力委員会では、「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」において、我が国の原子力平和利用を着実に進めつつ、国際的な利用拡大への対応を図ることを通じ、2050年までに温室効果ガスの排出を半減するという目標に向けてとるべき対策について検討を行っています。

これらの活動が成果をあげていくためには、国民の皆様の理解を頂きながら政府が一体となって取り組んでいくことが必要です。

今後とも、我が国の原子力研究・開発・利用が世界の原子力平和利用活動に貢献し、人類にとって明るい未来が開けていくように私も努力してまいります。

皆様におかれましても一層のお力添えを頂きますようお願い申し上げ、新年のご挨拶と致します。


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