[原子力産業新聞] 2008年1月17日 第2412号 <6面>

新春特別座談会 洞爺湖G8サミットへの道標 ――「原子力と向き合う」
原子力発電グローバル化 新時代の幕開け
世界同時発展を可能に
温暖化防止・エネルギー安保を両立

高レベル廃棄物処分 「国民共通の課題」との自覚を

司会 さて、原子力がこれだけ優れた多くの利点を持ちながら、もう一歩、世界的市民権を得られない要因として、ご議論いただいた「原子力CDM」の問題と、甘利大臣から冒頭に問題提起いただいた高レベル放射性廃棄物処分場の問題が未解決・不透明なことがアキレス腱になっている。そこで最後に甘利大臣から、政府として廃棄物処分問題への取り組み、決意を伺いたい。

甘利 まず国民の皆さんにご理解いただかなくてはならないことは、高レベル放射性廃棄物最終処分の問題は、既に原子力発電所が何十年も稼働している結果として処分しなければならない廃棄物がもう既に発生しているということである。わが国は、原子力発電をCOを出さず地球環境によくて、安定的に供給できる基幹電源として、その恩恵を享受しているので、この問題から逃げるわけにはいかないということを全国民の皆さん、もちろん日本だけではなくて世界中のみなさんに認識していただく必要がある。だからこそ、世界では今、原子力先進国では最終処分場がどんどん決まり始めているわけだ。

日本もそのためのいろいろな方法の検討に時間がかかるにせよ、国民が正面からこの問題を議論してほしい。もう、「知らない、知りたくない」と目をそむけていける状況にはなく、国民一人ひとりが自分たちの問題として考え、行動していただきたい。

そこで、現状ではこの最終処分事業は、原子力発電環境整備機構(NUMO)を中心に取り組んでもらっているが、しかし、処分候補地への公募を得て文献調査をしようというところまでもなかなかいかないため、ここはやはり民間任せではなくて、もう少し国が前面に出る必要があるという指摘を受けている。それでは、具体的にどういう行動をするか。今の話も含めて、広報活動を強化しなければならないことは避けて通れない課題だ。まず、高レベル放射性廃棄物はもう既に発生しているということを、しっかり国民に認識してもらうということが大事だ。

また、NUMOの公募に加えて、地域の意向を十分に尊重した国による文献調査の実施の申し入れということを追加していかなければならないだろう。また、この事業を実施するにあたり、都道府県を含めた当該地域における広域的な地域振興構想の提示が必要だと思う。そうした文献調査から最終処分施設の設置に至る過程で、当該地域だけではなく、もっと広範な振興策というものを提示することが必要だと思う。今、国がどのように前面に出るべきか、その出方について鋭意検討しているところだ。

司会 本日は皆さま、誠に有意義なご議論をいただき、ありがとうございました。 (了)


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