[原子力産業新聞] 2008年2月7日 第2415号 <2面>

ITER用 欧州製超伝導素材 日本でコイル性能試験

フランスのカダラッシュに建設する国際熱核融合実験炉(ITER)計画推進の一環として、欧州原子力共同体(ユーラトム)が製作した試験用超伝導コイルが先月24日に、茨城県那珂市の原子力機構・那珂核融合研究所の超伝導コイル試験装置の中に据付けられた(=写真)。

同試験用コイルは外径1.6メートル、長さ3.4メートルの円柱形で重量が6トン、ITERのポロイダル磁場コイルで使用されるニオブ・チタン合金の超伝導導体の性能試験を目的に製造されたもの。

最大試験磁場は7テスラ、最大試験電流は52キロアンペア。ポロイダル磁場コイルは、高温プラズマを磁場で閉じ込めるトロイダル磁場コイルのような高磁場を必要としないため、素材にニオブ3スズではなくニオブ・チタンの汎用素材を使用する。

同コイル試験はITER国際核融合エネルギー機構がポロイダル磁場コイル用導体の技術仕様を確定し、欧州が調達を開始するために重要なもの。

原子力機構が大型超伝導コイルの試験に関して世界最高級の技術と豊富な実績、高性能な試験装置を有することから、ITER機構とユーラトムから委託を受けて、試験を実施することになった。

同コイルは昨年9月に欧州から那珂研に搬入され、その後、原子力機構による受入れ検査を行っていた。据付け後、6月から試験を開始し、約3か月かけて行う予定になっている。


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