[原子力産業新聞] 2008年2月7日 第2415号 <3面>

カリーニン教授 ロシア動向を語る 日ロ原子力産業の共存を

日本原子力産業協会は1月28日、「ロシアの原子力産業の動向に関する講演会」を開催。モスクワ大学のアレクセイ・カリーニン教授(=写真)を招聘した講演会には、70名を超える聴衆が詰め掛けた。

ロシアでは、政府が2030年までに40基の原子力発電所の新規建設構想を表明し、原子力庁「ロスアトム」を廃止し、原子力事業すべてを管理する国営企業「ロスアトム」を設立するなど、原子力分野の大規模な再編が進んでいる。

同教授はロシアでの原子力発電プラント製造に関して、「原子力蒸気供給システム(NSSS)以外は海外からの輸入が必要」と述べ、「ロシア国内で稼働中の原子力発電所には大規模な改修が必要と考えられることから、相当額の改修機器の輸入が必要になる」との見方を示した。

また、ロシアへの販売実績のある欧州企業のリストを示した上で、「すでにロシア国内の原子力発電プラント設備の30〜40%が欧州からの調達になっている」と紹介した上で、日ロの原子力産業が共存共栄することへの期待を表明した。

また、日ロの合弁会社の設立については、「ロシア指導者は合弁設立に厳しい立場をとっており、合弁の製造設備はロシア国内に置き、株式の51%以上はロシア側が保有、またロシア国内ではロシア側が独占販売権を持つ等の条件がつけられる」と指摘した。

カリーニン教授は、「核燃料はロシア製、原子力発電プラントは日本の設計で日本が建設するという形で、協力が進むことを期待する」と述べた。

一方、参加者からの「核燃料サイクルで日本から協力する分野はないのか」との質問に対しては、「カザフスタンのウランをロシアで濃縮し、日本で燃料製造、という構想もあるが、ロシアとしては燃料分野はできるだけ自国で押さえておきたい考えがあるようだ」と、実現は難しいとの見解を示した。


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