[原子力産業新聞] 2008年2月14日 第2416号 <1面>

【インタビュー】岡田・MFBR社長に聞く

高速増殖炉(FBR)の概念設計や革新的要素技術開発を担うエンジニアリング企業として、昨年7月に発足した「三菱FBRシステムズ(MFBR)」が事業の推進に取組んでいる。「今年は2年目、MFBRとして成果を出す年になる」という同社の岡田敬三社長に現状と今後の計画について聞いた。

―MFBRの現状は

岡田社長 業務は軌道に乗ってきた。発足当初は手探りの状態だったが、国、電力各社、日本原子力研究開発機構など関係各機関の支援に感謝している。現在50数名の体制だが、社員一人一人の自覚も高まっている。発足時から予定していた電力の出資(資本金1億円、電力の出資比率10%)は昨年11月に完了した。

―アドバイザリコミッティの活動は

岡田社長 昨年11月に第1回会合を開催した。今後、年2回程度開催し、事業の計画・目標の設定、その進捗状況などについてアドバイスを頂く。現在、学識経験者、電力等に参加して頂いており、座長は東京大学の田中知教授にお願いしている。

―人材確保について

岡田社長 三菱重工は94年に新型炉技術開発(株)を設立するなど、FBR技術者の確保や「もんじゅ」の技術継承に努めてきた。中核企業に選定されたのは、こうした取組みが評価されたもので、今後も積極的に人材確保を進める。16年頃には160名前後の体制とし、概念設計以降の業務も担いたい。

―実用・実証炉の概念設計、革新的要素技術開発がMFBRの二大業務だが

岡田社長 概念設計を15年までに終え、13課題ある革新技術も15年までの開発終了を目標としているが、革新技術は10年頃に実用化できるかどうか見極める必要がある。13項目ともハードルは高いが、受動的炉停止や免震構造などは、これまでも開発してきた。2ループ化のための大口径配管やポンプ組込型中間熱交換器も三菱重工がすでに4分の1縮尺試験装置を用いて、評価を進めてきている。

―GNEPの関係は

岡田社長 三菱重工はアレバ、日本原燃とともに技術提案し、MFBRは、先進リサイクル炉のリーダーである三菱重工をエンジニアリングでサポートしている。

昨年11月に計画参画のための契約を米国エネルギー省(DOE)と締結した。現在、DOEが提案内容を審査している。技術提案は他のグループからも出されているが、今年の春以降には、我々の提案がDOEに選定されるものと自信を持っている。

岡田敬三(おかだ・けいぞう)氏 77年三菱重工業入社、2年目からFBR設計を担当、03年神戸造船所原子燃料・バックエンド設計部長、06年本社原子力技術部長、07年7月からMFBR社長


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