[原子力産業新聞] 2008年2月14日 第2416号 <4面>

放医研 世界初の開放型PET 診断・治療が同時に

 

放射線医学総合研究所は七日、診断と治療が同時に可能な世界初の開放型PET装置を開発したと発表。体軸方向に「検出器リング」を2分割して配置することにより、開放空間からの照射治療を可能にするもの。これにより、従来は長いトンネル状であった患者ポートが解消され、検査中の心理的ストレス軽減にもつがなりそうだ。

PETは装置感度を高めるため、検出器リングをトンネル状に配置する必要があるが、患者にとっては心理ケアのネックともなっていた。今回、開発に当たった放医研分子イメージングセンターの先端生体計測研究グループでは、この検出器リングを2分割し、物理的に開放された視野領域を有するPET装置を考案、最も画質の優れる中央部分を除去しても影響が小さいよう、リング間の計測データで欠損情報を補って画像化することで、性能低下を防いだ。

開放空間は、治療スペースやX線CT装置など、別の診断装置の設置場所としても活用でき、特に、粒子線がん治療装置と組み合わせることで、ビームが照射された患者体内のがん標識近傍をPETで画像化して確認できることから、治療精度向上が期待される。


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