[原子力産業新聞] 2008年2月21日 第2417号 <1面>

文科省 放射線源の登録制実施へ 危険性高い線源を義務化 09年10月目途 国の追跡可能に

文部科学省は09年10月を目途に、国による放射線源の登録制度を開始する。放射線源のセキュリティ強化が目的で、IAEA(国際原子力機関)の危険性カテゴリ1、2や一部3の線源は、既存も含め、全て登録を義務化する。完全にウェブ上で登録可能なシステムとするため、現在ソフトウェアなどの開発を進めており、来年度中に必要な省令も整備する。

同制度は、03年にIAEA理事会が採択し、04年に日本政府が支持表明した「放射線源の安全とセキュリティに関する行動規範」(IAEA/CODEOC/2004)に対応する。規範は放射線の利用を阻害することなく、破壊活動・紛失、盗難、許可のない移動などの防止を目的とし、要求事項に国が登録システムを確立し、線源の所持や移動などの追跡可能な制度を求めている。現在、我が国では線源の管理を事業者に任せ、追跡は可能とされるが、国の制度はない。

登録の対象は、人体に与える危険性を考慮し、5分類しているIAEAカテゴリ1〜3(一部)の線源。具体的にはガンマナイフ、遠隔治療、放射線滅菌、血液照射、照射、リモートアフターローディング、非破壊検査等の各種装置に使用している線源などになる。我が国で登録が必要な線源は現在、1万7,000個程度と想定されている。

登録情報は、@核種・数量・線源番号・製造者・ホルダ番号・装置番号などの固有情報A受入先、払出先など受入・払出等の情報B事業者が保有する在庫数の定期的確認等の在庫情報――。登録対象行為は固有情報が輸入、製造・詰替、公称放射能変更、交換、事故損失または発見した場合など、同じく受入・払出等情報が仕入、販売、賃貸などで、登録は随時、速やかなことを求める。

文科省の科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室が管理するウェブ上で登録するシステムとするため、現在、準備を進めている。来年度中には必要な省令も整備、半年程度の周知期間の後、施行する。


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