[原子力産業新聞] 2008年2月21日 第2417号 <1面>

第5ステップ、スタート 六ヶ所再処理 ガラス固化に課題残す

日本原燃は14日、再処理工場のアクティブ試験の最終となる第5ステップを開始した。同日の総合資源エネルギー調査会の核燃料サイクル安全小委員会で、保安院が第5ステップでのガラス固化設備の試験継続に関し、差し支えないとの判断を示し、同委員会も了承した。第5は3か月程度を必要とし、同工場の竣工は来年度になる。

同社が今月4日に提出したガラス固化設備の試験報告書によると、同設備(A系列)は、合計57本の固化体を製造。5日間連続運転、70リットル/hの処理能力などを確認したが、白金族元素の炉内での沈降・堆積を抑制する温度制御の難しさなどから、安定運転が難しいと判断。12月の追加データ取得中に、ガラス流下性が悪化し、現在、炉底部に白金族元素が堆積したと見られる炉内を点検している。

報告書は、こうした経緯とともに、温度など炉の管理方法の具体化により、目標とする運転は実現可能であり、第5ステップでA系列の再確認やB系列の試験を実施するとした。

保安院は、ガラス固化設備の安定運転の維持の見通しは十分ではないとした上で、他の試験項目は全て終了し、試験に必要な高レベル廃液の確保も必要であり、第5ステップ開始は差し支えないとの見解を提示。委員からは、溶融炉の安定運転見通しに関し、厳しい意見も出されたが、この方針は了承した。保安院は今後の対応として、溶融炉試験再開前に運転方法の適切性を確認し、固化設備の使用前検査を実施する前に試験結果を確認する方針も示した。

第5ステップではBWR使用済み燃料約100トンを使用、工場全体の性能を確認するが、当面はガラス溶融炉の安定運転に注力することになる。なお、同社は第4ステップ全体の試験報告については別途提出する。


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