[原子力産業新聞] 2008年2月21日 第2417号 <3面>

新規建設へ 環境評価提出 フィンランド

フィンランドのテオリスーデンボイマ社(TVO)は14日、新規原子力発電所の増設に関する環境影響評価(EIA)報告書を、雇用経済省に提出した。今後同省は、関連する省庁や自治体からEIA報告書に対する意見を募集するとともに、パブリック・コメントに付す。その後、同報告書に対する最終判断を下す予定だ。

雇用経済省の最終判断は6月までに下されると見られており、了承された場合、TVOは4号機建設の原則決定(DIP)を政府に申請する段取りになる。

4号機は電気出力100〜180万kW級(熱出力280〜460万kW)を予定しているが、採用炉型は未定だ。

EIA報告書は、「4号機の運転による有意な環境影響は、温排水の海洋影響」としながらも、冬季の凍結水域を減少させる程度で海洋資源には影響を与えないと結論。同時に、周辺地域の雇用増など経済的影響にも言及している。またEIAでは地元住民からの意見も聴取しており、地元住民の55%、別荘など週末住民の37%からプロジェクトへの支持を得ている。

ただしTVOは、「4号機を建設せずに、電力市場から調達する」とのオプションも検討しており、「原則決定を申請するかどうかの最終判断は未定」(P.シモラ社長兼CEO)としている。

TVOは昨年5月にオルキルオト4号機の増設に関するEIA計画書を策定。貿易産業省(当時)が同9月に計画書を了承したことから、EIAを実施していた。

フィンランドではほかにも、フォータム社とフェンノボイマ社がEIAを実施している。フォータム社は今春にもEIA報告書を提出。フェンノボイマ社も来年初頭までにはEIA報告書を提出する見通しだ。

フィンランドでは今年1月1日、旧貿易産業省を母体に、労働省と内務省の一部が移管して雇用経済省が発足していた。


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