[原子力産業新聞] 2008年2月21日 第2417号 <4面>

核種データ集を改訂 原子力機構 医療被ばく線量評価用

日本原子力研究開発機構はこのほど米国オークリッジ国立研究所(ORNL)と協力し、陽電子放射断層撮影(PET)などの核医学検査・治療に伴う患者の被ばく線量評価に使用する米国核医学会の線量計算用放射性核種データ集「MIRD」を改訂し、第2版を完成させた。

原子力機構の遠藤章・放射線防護研究グループリーダーとORNLのケース・エッカーマン博士による成果。医学分野では、放射性同位元素で標識した医薬品を用いて各種臓器の機能検査やがん、バセドウ病などの治療が広く行われ、陽電子を放出するC11、N13によるPET検査も急速に拡大、昨年の国内PET検査数は約35万件に達した。

これらの検査や治療では体内に投与される放射性医薬品により、患者の被ばく線量とリスクを評価するが、この評価のためのデータ集が米国核医学会の「MIRD」。同委員会は1989年に242核種が放出する放射線のエネルギーや強度をまとめたデータ集を発行、現場で活用されている。

今回の第2版は、242核種に加え、新たな核種の利用ニーズに応えるため91核種を追加した。

原子核の構造・崩壊に関する最新情報も反映するとともに、人体内に取り込まれた放射性核種が放出するオージェ電子のエネルギー分布も評価し、第1版では出来なかったDNAサイズでの詳細な線量計算も可能にしている。

この第2版は1月、米国核医学会から一般向けに出版された。


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