[原子力産業新聞] 2008年2月28日 第2418号 <2面>

保安院 設置許可申請 トピカルレポート制導入 安全審査の効率化図る

原子力安全・保安院は、今年7月頃から原子炉設置(変更)許可申請の審査に、トピカルレポート制度を導入する。現在、要素技術の安全審査事項(トピック)も申請毎に個別審査しているが、同制度により電力会社やメーカーからの求めに応じ、同レポートを予め評価、個別審査で活用し、審査の実効性や効率性を高める。保安院は「今回の制度が直ちに型式承認制度に結びつくものではない」としている。

トピカルレポート制度の導入は、21日の総合資源エネルギー調査会・原子炉安全小委員会で審議され、多くの委員が「制度の方向として適切」と評価、了承された。

保安院は、昨年10月の原子力安全基盤小委員会報告「原子力安全基盤の強化」で、燃料安全審査に同レポート活用が示されたこともあり、具体的な検討を進めてきた。

評価対象は当面、電力会社またはプラントメーカーが作成した同レポート。評価を受けるためには、@燃料設計、機器設計、解析モデルなど安全評価が必要な事項であることA多数の設置者の参照が期待できるB特定事項に関し完全で詳細な情報を含むC参照する申請の審査過程の効率を向上できる――との4条件を全て満たす必要がある。

保安院は、提出された同レポートを原子力安全基盤機構と協力し、妥当性を評価。評価案は同小委員会の下の燃料WGや近く新設の安全評価WGでの審議やパブコメを経て、提出企業に通知、同レポートとともに原則公表される。来月には手続きの内規を整備、6月までに評価体制も整える。

米国では型式承認制度と同レポート制度が定着。保安院は「我が国の現行制度は、設置者の原子炉設置(変更)許可申請を前提としており、型式承認はこの変更が必要。今回を機に直ちに型式承認制度を導入することはない」としている。


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