[原子力産業新聞] 2008年3月6日 第2419号 <1面>

革新的技術でロードマップ案 原子力委 各技術の貢献度も提示へ

原子力委員会は2月28日、臨時会議を開催し、「原子力の革新的技術開発のロードマップ」の骨子案を審議した。温室効果ガス削減に貢献する原子力技術を電力供給技術、水素製造などの多様な技術、基盤技術に3分類し、各技術を短期・中期・長期に分けて開発目標と達成時期の設定を行う策定方針を了承。今月12日のロードマップ案検討を経て、18日には最終的に取りまとめる。

同委員会は2月19日と21日に非公開で関係機関からヒアリングしており、骨子案はこの結果を基に作成した。

原子力をエネルギーとした電力供給技術における短期的技術では耐震安全、高経年化、高燃焼度化とともに、稼働率向上に向けた検査制度改善やリスク情報活用などを挙げた。同じく2030年、2050年の段階で寄与する中期技術では次世代軽水炉、ウラン濃縮、廃棄物処理処分、再処理、中小型炉、FBRなどを列挙。同じく長期技術では海水等からのウラン回収技術、核変換技術、核融合などを挙げている。

多様な技術では30年、50年の段階で寄与する中期技術として、高温ガス炉、水分解や放射線励起触媒による水素製造など。基盤技術では同じく、中性子照射によるシリコンへのドーピング技術、燃料電池や水素貯蔵材料の開発、高発電効率太陽電池パネル開発、二酸化炭素高吸収植物品種の創出、カーボンニュートラルなプラスチックの創出などを量子ビームテクノロジー利用として挙げている。

ロードマップは各技術の開発目標や達成時期とともに、各技術を実用化することによる二酸化炭素削減量も記載する予定。委員からは官民の役割分担の考え方、民間の意見も聴くべきなどの意見が出された。


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