[原子力産業新聞] 2008年3月6日 第2419号 <2面>

原子力産業実態調査 売上、人員とも増加傾向へ 原産協会集計 将来の市場拡大見込む

日本原子力産業協会は2月29日、06年度の原子力産業実態調査報告を取りまとめ発表した。

06年度の電気事業の原子力関係支出がほぼ例年並みの1兆7,000億円レベルを維持する一方、鉱工業の原子力関係売上高は約18%増の約1兆6,000億円となり、前回調査から2年連続の増加となった。

今後の売上見込みに関しても、米国やアジアなどの海外市場における新規プラント建設や既存炉の取替え用機器の受注などを念頭に、2年後の08年度に06年度の約17%増に、5年後の11年度には約23%増に拡大するとの明るい見通しが示されている。

06年度末の受注残高についても、04年度末、05年度末における減少から一転して約11%増の約1兆8,900億円となった。過去10年間は全体的に減少傾向にあったことから、今後下げ止まって上昇に転ずるか否かは不透明ながら、今後本格的に進むであろう主要メーカーの海外展開の度合いによっては、新たな展開が期待される、と見ている。ただ、原子力関係の特許使用料などは集計の売上・支出両方に含むものの、外国企業からの株式配当などは集計対象からはずしてある。

また、電気事業および鉱工業における原子力関係従事者数も02年度以降初めて増加(2.3%増)し、約4万6,000人となった。毎年一定レベルで計画的に増員している電気事業は1万800人になり、例年低下傾向にあった鉱工業でも02年度以降、初めて従業員数が増加し、3万5,000人となったことが特筆される。

さらに、鉱工業全体の研究支出高は約6%増の320億円となっており、うち原子炉機材部門で16%増の124億円、燃料サイクル部門では約67%増加し65億円という結果になった。

一方、設備投資の相当部分を占めていた六ヶ所再処理工場では06年度初頭からアクティブ試験が開始されるなど、建設工事の完了に伴い鉱工業の生産設備投資は4割減の670億円となった。

同調査は、06年度の(1)電気事業の原子力関係支出動向(2)鉱工業の売り上げ動向および支出動向(3)民間企業の原子力関係従事者数――などについて、調査票送付先の対象企業数585社のうち、06年度中に原子力関係の売り上げ、支出ないしは従事者を有するなど何らかの実績のあった313社の調査票をもとに取りまとめた。


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