[原子力産業新聞] 2008年3月6日 第2419号 <2面>

耐震安全テーマに活発な議論 3府省共催 安全研究フォーラム

原子力安全研究の成果普及・活用に向け、議論・情報交換を行う「安全研究フォーラム」が2月29日、東洋大学ホール(東京・文京区)で、内閣府原子力安全委員会、文部科学省、経済産業省の共催により開かれた。昨夏の中越沖地震をとらえ、原子力施設の耐震安全性がテーマ。海外からIAEA、OECD/NEA、米NRCも参画した本フォーラムは、耐震設計審査指針の改訂とも相まって、注目度も高く、約700名もの参加者が集まり、活発な質疑応答が交わされた。

「地震・地盤調査、地震動策定」に関するパネル討論で、杉山雄一・産業技術総合研究所活断層研究センター長は、鳥取県西部地震、中越地震の経験から、「孤立した短い活断層」、「見えにくい活断層」の適切な評価を地質学観点から指摘した上、新耐震指針が要求する「震源を特定せず策定する地震動」に寄与する震源像の想定を活断層調査の課題としてあげるなどした。

「耐震健全性評価」のセッションでは、原子力安全・保安院のWGで柏崎刈羽原子力発電所の調査に携わる小林信之・青山学院大学理工学部教授が、地震後の機器・配管系の状況から、耐震裕度の詳細な検討などを今後の研究課題として指摘した。また、小山田修・日本原子力研究開発機構原子力科学研究所長は、1982〜2004年度に原子力発電技術機構で行われた大規模な耐震信頼性実証試験を振り返り、「世界に例をみない貴重な実験データが得られた」と評価するなど、耐震強度研究における国際的協調の推進を訴えた。

新耐震指針に盛り込まれた「地震PSA」に関しては、指針改訂にも携わった亀田弘行・京都大学名誉教授が、多数基立地を日本の原子力発電所の特性としてあげ、地震による複数設備の同時損傷の可能性検討をシステム研究の課題としてあげたほか、地震PSA研究から得られる有益な情報を、「一般との対話」に活用していく必要を強調した。

参加者からは、「台湾集々地震(99年)のような地表に現れる活断層の研究は」といった海外事例研究に対する要望、「災害時の情報発信の行政庁間の住み分けは」といった防災に関する質問のほか、柏崎刈羽発電所再開の見通し、耐震指針の見直しに関する意見もあった。


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