[原子力産業新聞] 2008年3月13日 第2420号 <1面>

報告を政府懇談会に反映へ 原子力委ビジョン懇 最終報告書 国際枠組み構築等

原子力委員会の「地球環境保全・エネルギー安定供給のための原子力のビジョンを考える懇談会」(座長=山本良一・東大生産技術研究所教授)は11日の会合(=写真)で、最終報告書を取りまとめた。審議終了にあたり、山本座長は報告書内容を、自身が委員を務め今月6日に初会合を開いた政府の「地球温暖化問題に関する懇談会」にも反映させたい、との意欲を示した。

最終報告書は先月募集したパブコメを反映、前会合で取りまとめた報告書案を一部修正したもの。パブコメには、延べ45人から77件の意見が寄せられた。

同報告書はまず、「原子力はエネルギー消費の節約や利用効率の向上、再生可能エネルギーなどとともに、低炭素社会実現のために不可欠」と原子力の役割を示した上で、原子力平和利用が地球規模で一層拡大するよう、6項目を重点的に取組むとしている。

世界的取組4項目と国内取組2項目。世界的取組は、(1)地球温暖化対策には原子力エネルギー平和利用の拡大が不可欠との共通認識の形成と、利用拡大に向けた国際枠組みの構築(2)平和利用の前提となる核不拡散、原子力安全及び核セキュリティ確保のための国際的取組の充実(3)各国における平和利用推進のための基盤整備への積極的協力C世界的な平和利用拡大に資するための供給技術の性能向上を目指した我が国の研究開発活動の強化――。

国際枠組で原子力をCDM対象にすべきであり、ポスト京都議定書では原子力を有効な温暖化対策に位置付けるべきとした。研究開発活動における重要テーマは次世代軽水炉、中小型炉、高温ガス炉、燃料サイクル技術、核融合など。

国内対策は原子力政策課題への取組及び国民との相互理解活動の各強化。政策課題では耐震安全性確認、高レベル放射性廃棄物処分推進の格段の充実、科学的な安全規制システムに基づく定格出力向上や設備利用率向上などを挙げ、相互理解活動では透明性と公開性の一層の改善、教育や国民への情報発信の充実、各層との対話の機会の増大などを掲げた。


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