[原子力産業新聞] 2008年3月13日 第2420号 <1面>

「原子力の位置付け高まる」 望月長官 国際会議前に認識示す

総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会(会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)は10日の会合で電気事業を巡る最近の課題について意見交換した。この中で、資源エネルギー庁の望月晴文長官は、G8エネルギー大臣会合や北海道洞爺湖サミットなどにおいて、地球温暖化対策として原子力を重要なものと位置付ける方向に進んでいる、との認識を示した。

同分科会は今会合で「今後の望ましい電気事業制度の在り方」を最終的にとりまとめた。併せて、エネ庁は最近の電気事業の課題として、柏崎刈羽原子力発電所の停止を受けた電力需給、各種燃料高騰、環境問題、核燃料サイクルなどを説明、意見交換した。

委員からは、「原子力の活用が電力の安定供給と温暖化対策の最大の解であり、洞爺湖サミットの場は世界に向けて原子力の重要性に関する強いメッセージを出す好機」(齋藤宏・みずほコーポレート銀行頭取)、「原子力の役割は一層高まっており、原子力の安定稼働が(バーゲニングパワーとして)LNGの安定調達にもつながる」(鳥原光憲・東京ガス社長)など原子力の重要性を指摘する意見が多く出された。

これに対し望月長官は、「今回の一連の国際会議では、環境と経済の両立を大前提に議論を進めることになると思う。G8全ての国が一致している訳ではなく、一部乗れない国もあると思うが、この両立を実現する上で原子力を最も重要に位置付ける、という方向で調整が進んでいる」と述べた。また、「原子力立国計画を策定しておいて良かった、という思いを強くしている」とした。

7月の洞爺湖サミットに向けエネルギー関連では、今月14日から16日までG8や中国、インド、ブラジルなど主要排出国20か国の環境担当大臣とエネルギー担当大臣が参加し千葉市で、「気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する第4回閣僚級対話(グレンイーグルス対話=G20)」(今回が最終回)が開かれ、6月7日と8日には青森市でG8エネルギー大臣会合も予定されている。


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