[原子力産業新聞] 2008年3月13日 第2420号 <3面>

加オンタリオ州 既存炉のリプレースに向け 年内にも炉型選定へ

カナダのオンタリオ州は7日、既存炉のリプレースをにらみ、新規に建設する原子力発電所の炉型を年内にも選定する意向を明らかにした。同州は原子力発電を今後も基幹電源と明確に位置づけ、400億加ドルを投じ、最大6基にバックフィット作業を実施することに加え、新たに2基を建設する計画だ。

カナダ経済の中心地であり、同国最大の人口を抱えるオンタリオ州では、現在16基の原子力発電所(全てCANDU炉、グロス出力計1,195万kW)が運転中。いずれも州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション社(OPG)が所有し、うちブルース原子力発電所をブルース・パワー社が、ダーリントン原子力発電所とピッカリング原子力発電所をOPGが運転している。

今回、州エネルギー省、OPG、ブルース・パワー社の3者によるレビューの結果、@仏アレバ社製USEPRA加原子力公社(AECL)製ACR1000BGE日立ニュークリア・エナジー社製ESBWRCウェスチングハウス・エレクトリック社製AP1000――の4炉型を採用炉型の候補に決定した。今後のスケジュールは、6月末をメドに4社からの入札を締切り、早ければ年内にも炉型を選定。2012年頃には着工し、2018年には初号機を運開させたい考えだ。

連邦政府のG.ルン天然資源相は再三に渡って、「カナダの原子力産業界の未来は、国産技術であるCANDU炉がオンタリオ州で採用されるかどうかに懸かっている」と強調し、同国最大の原子力発電市場であるオンタリオ州に対し、AECL製CANDU炉の採用を強く働きかけてきた。オンタリオ州のD.マッギンティー州首相はこれまで「国際市場も見据え、州民にとって最適な選択をしたい」とCANDU炉と距離をとることを示唆していたが、今回の候補炉型の1つに最新型CANDU炉であるACR1000を加えたことで連邦政府の意向に一定の配慮を示した形となった。


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