[原子力産業新聞] 2008年3月13日 第2420号 <4面>

CT利用で義歯手術に新技術 科技振興機構

科学技術振興機構(JST)はこのほど、CT画像を利用した、高精度・低侵襲の歯科インプラント手術につながる技術開発成果を発表した。大阪大学歯学研究科の研究をもとに、義歯メーカーの和田精密歯研が、JSTの独創的シーズ展開事業で、04年から開発を進めてきたもの。

欠損した歯の治療法として、人工歯根を埋め込む歯科インプラント手術が普及してきているが、歯科医師の勘に頼るところが多く、医療トラブルも増えている。このほど開発されたのは、手術で顎骨に人工歯根を埋める孔を開けるドリルが最適な位置に導かれるよう患者ごとに設計・加工する「サージカルガイド」を、高精度に量産する技術。CTで撮影した患者の顎骨部の画像から三次元画像を構成し、残存歯や骨の状態に合わせた人工歯根の最適な埋込位置をシミュレーションし、「サージカルガイド」を設計・製作する。この「サージカルガイド」を患者の歯面・骨面に装着してドリルすることにより、正確な位置に埋込位置をせん孔でき、安全性向上が図れるほか、CTデータから顎骨模型も造形できるため、患者への執刀前の説明にも役立つこととなる(=左図)。従来と異なり、歯肉を剥離しない施術も可能となり、手術時間短縮、患者の負担軽減にもつながりそうだ。


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