[原子力産業新聞] 2008年3月27日 第2422号 <1面>

「国際社会に貢献する原子力」 原子力委員会 07年度版原子力白書で

原子力委員会は07年度版の原子力白書をまとめ、21日に閣議配布した。同委員会として内外情勢を分析、問題意識を示す第1章のテーマは、「国際社会に貢献する原子力研究開発利用を目指して」。平和利用拡大に向け国際的枠組みが重要と提起し、我が国の課題では安全確保、高レベル廃棄物問題など改めて国民相互理解の一層の強化を求めた。

第1章は、原子力を巡る内外情勢と我が国が取組むべき課題で構成。

内外情勢では、国際社会における原子力エネルギーに対する期待の高まりを掲げ、(1)世界各国の原子力発電拡大に向けた動き(2)IPCCによる原子力の温室効果ガス排出緩和技術への位置付け(3)GNEP計画への多数国の参加CFNCA(アジア原子力協力フォーラム)の原子力発電導入促進の共同コミュニケ――などを列挙。平和利用を確保するための世界の核不拡散・保障措置、核燃料供給保証などへの取組み状況も示している。

国内情勢では原子力政策大綱に沿い各種取組みが着実に進んでいるとする一方、事業者の過去の不正、地震発生時の対応、高レベル処分計画の遅れなど、不安感をもたらす出来事や一部取組みの停滞もあるとしている。

我が国が取組むべき課題は、国民相互理解活動の強化、世界的な平和利用拡大に向けた積極的働きかけ、次世代技術開発、放射線利用の推進および人材育成――など。

理解活動では通常時・緊急時を問わず情報発信は国民目線に立つべきとし、基礎情報を学習する機会・場所の提供や理解活動の担い手の育成などが必要と指摘。事業者に自然災害などのリスクを低減するための管理活動の強化、国には安全規制への信頼性を確保するため最新知見の速やかな反映を求めた。


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