[原子力産業新聞] 2008年3月27日 第2422号 <2面>

Salon 原子力部会に「国際問題小委」新設を エネルギー政策 研究所長 神田啓治氏

今年に入り、「新「原発の時代」―世界的な新規建設計画ラッシュ」、「原子力ルネサンスに必要不可欠な日本の技術力・協力」といった、原子力にポジティブなテレビ・新聞報道が目立つ。そのためか事あるごとに「この方面に一番詳しい神田先生に解説してほしいとか、ビジネスがらみの相談依頼が5、6件もきている」と語るのは、神田啓治エネルギー政策研究所長(京都大学名誉教授)。

神田氏は、わが国の原子力政策が混迷した2004年当時、「日本が原子力先進国として世界のイニシアチブをとれるまでに成長できたのもメーカーの力あってこそ。今後ともこの優位を維持し世界に貢献していくには、メーカー、電力のみならず、商社、金融機関、政府等官民一体となり原子力産業の国際展開を推進することが肝心」と説いて回った。当時はまだ民間主導が望ましいという情勢で、日本原子力産業会議(現日本原子力産業協会)が「原子力国際展開懇話会」を設置、神田氏が主査を務めた。

時が移り今、原子力発電は温暖化防止のみならず今後の持続的経済発展・エネルギー安全保障の見地からも位置づけが高まり、地球規模で新規建設・導入ラッシュが予想される。同時に、原子力は21世紀最大のビジネス市場で国家戦略の要となりそう。とりわけ、原子力を国家戦略の柱とするロシアの一大攻勢が不気味で、日本製鋼所の株買占めにも要注意。「もろもろ含めて、原子力部会に『国際問題小委員会』を新設して、国が前面に出て原子力産業の総合的攻防戦略をしっかり固めるべきではないか」と提言している。   (英)


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