[原子力産業新聞] 2008年4月3日 第2423号 <1面>

電力各社 新指針でも耐震安全性を確保 基準地震動、大幅に見直し 耐震バックチェック中間報告を提出

電力各社は31日までに、各原子力発電所の耐震バックチェックの中間報告を原子力安全・保安院に提出した。周辺活断層の再評価などにより、各社とも基準地震動を見直し、その最大加速度を旧指針に比べ1.2〜1.6倍に修正(=表)。新基準地震動Ssを基に、原子炉建屋や安全上重要な耐震Sクラスの主要設備の耐震解析を実施し、全発電所の耐震安全性が確保されていることを確認した。

今回報告したのは、すでに保安院が耐震安全性を検討中の柏崎刈羽および浜岡を除く9社15発電所で、原子力機構は「もんじゅ」の最終報告を提出した。

旧指針の基準地震動S2の最大加速度に対し、新指針同Ssの最大加速度を最も大きく引き上げたのは福島第一および福島第二で、両発電所とも従来の370ガルに対し600ガルと1.62倍に設定した。活断層の長さを安全側に評価、プレート間地震および海洋プレート内地震の不確かさを考慮し安全側の地震動評価を行った。03年の宮城県沖地震が敷地下方で発生することなども想定している。

同じく1.55倍に設定した女川は、断層関連褶曲の考え方を適用し、地下深部に断層が伏在する可能性や複数の断層の連続性、03年宮城県中部地震の新知見などを反映させた。関西電力の3発電所もほぼ1.5倍の修正を行い、美浜と大飯が600ガル、高浜が550ガルとした。

各社は昨年10月頃から改めて実施した各種の地形調査や地質調査により、従来は基準地震動策定に考慮しなかった断層の再評価、各活断層の同時活動性、活断層の長さの再評価などを実施。各社ともこうした評価は、かなり保守的、安全側に評価したとしている。


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