[原子力産業新聞] 2008年4月3日 第2423号 <2面>

「発電所との共存が大切」 柏崎市 復興計画を策定 全号機停止の経済影響は大

昨年7月の新潟県中越沖地震で大きな災害に見舞われた柏崎市は3月27日、「中越沖地震復興本部会議」を開き、おおむね10年後を見据え、今後5年間の復旧・復興の道筋を示した「柏崎市震災復興計画」を決定した。

策定に当っては、市内の各種団体の代表や学識経験者などで構成する「震災復興計画策定委員会」(委員長=平井邦彦・長岡造形大学教授)や、市議会議員からの意見聴取会で議論を重ねたほか、市民アンケート、10地域にわたる地域懇談会などを通じて、市民の意見・提案を聞きながらまとめたもの。

同復興計画の前文で会田洋市長は、柏崎刈羽原子力発電所が全号機停止した状態にあることについて、「地域経済に与える影響は極めて大きい」としたうえで、「原子力発電所の安全性、信頼性の確保がすべての前提となるものだが、その上で共存を図っていくことが本市の発展にとって大切である」と強調している。

ただ将来的には、「原子力発電所に依存し過ぎないバランスの取れた経済産業構造の構築と財政運営を図っていくことが課題でもある」と述べている。

今後の町づくりの目標では、「被災した市民の皆さんが1日も早くもとの生活に戻れるように」と考えており、新たな企業立地の推進などにより、地域の経済基盤の再構築を図っていく、としている。

同市の被災規模は、14人が死亡し、1,600人以上が負傷、市の概算被害額は2,200億円、住居被害は2万8,000棟を超えたとしている。

第3章の「原子力発電所の安全性の確保」にも1ページを割き、事業者の安全対策の徹底、原子力安全・保安院の分離独立など国の安全規制体制の充実強化などを求めている。

市民アンケート 集計結果も公表

資料編として、昨年11月に18歳以上の市民約2,000人に対して行ったアンケート調査の集計結果も掲載。「復興を進めていくうえで、特にどのようなことを期待しているか(3つ以内)」との問いには、「原子力発電所の安全性確保」(61%)、「道路や上下水道、ガス等の整備」(54%)、「住宅や宅地への再建支援」(53%)が突出して多く、次いで「産業の復興・活性化」(22%)、「商店街の復興や活性化」(21%)などとなっている。ホームページにも掲載。


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