[原子力産業新聞] 2008年4月10日 第2424号 <1面>

放射線利用は4兆円規模 原子力委 報告書まとめる

原子力委員会はこのほど、我が国の放射線利用の経済規模に関する報告をまとめた。各分野の利用合計は05年度で4兆1,000億円(=表)、原子力エネルギー利用の同4兆7,000億円に匹敵する。

同報告は、内閣府からの07年度科学技術基礎調査等委託事業として、原子力機構が実施した「放射線利用の経済規模に関する調査」の成果。同機構は調査検討会や各利用分野の専門部会を設置して調査した。

05年度の工業利用は2兆3,000億円、半導体のフォトマスク製造に使用される電子線描画が60%を占める。放射線利用そのものに係る機器・製品は、出荷額自体を経済規模とし、製造工程の一部に放射線が利用された工業製品は、出荷額における放射線の寄与率を算定。半導体加工の寄与率は25%、ラジアルタイヤは同4%を適用した。

医学・医療分野は1兆5,400億円で、この内画像診断、放射線治療など保険診療が1兆5,000億円、保険外診療が318億円。患者が医療機関に支払う金額を積算する方法で評価した。

農業利用は2,800億円で、イネの突然変異育種の2,500億円が大きい。食品照射は国内唯一の士幌農協の馬鈴薯の処理量8,096トンを算定して9億円。ちなみに世界の食品照射処理量の総量は40万5,000トンで、経済規模は1兆6,000億円としている。

金額の算定は放射線を利用した農産物、製品、育種などではその出荷額としている。


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