[原子力産業新聞] 2008年4月24日 第2426号 <1面>

原子力が最大の有効策 勝俣東電社長 温暖化問題懇に見解提出

福田康夫首相が主催し、7月の北海道洞爺湖サミットに向けた提言をまとめる「地球温暖化問題に関する懇談会」(座長=奥田碩・内閣特別顧問)は22日、第3回会合を開催、低炭素社会について意見交換した。この中で東京電力の勝俣恒久社長は、低炭素社会の達成手段は原子力・省エネ・再生可能エネが3本柱だが、特に原子力が最大の有効策で、既設炉の利用率向上を推進し、サミットのテーマに国際的原子力推進体制構築を取り上げるべき、と主張した。

同懇談会委員の勝俣社長は、今会合で「地球温暖化問題の解決に向けた見解」および電気事業連合会と東京電力による参考データを提出。エネルギー問題では今後、環境性に比重を置くにしても安定供給や経済性の問題を軽視すべきではなく、国際交渉では全員参加で衡平な国別総量目標の設定が重要とした。

その上で、低炭素化社会達成の最大の有効策は原子力の利用拡大であり、当面の有効策は安全を大前提とする既設炉の利用率向上で、近年の75%程度を10年程度かけて他国並の90%にすることは十分可能と指摘。また、今回の「原産年次大会」での福田首相の「基幹電源としての着実な推進が極めて重要」、「地球温暖化対策の切り札」との所感は大変心強く、政府全体による原子力の必要性・効果の国民理解促進を要請した。

さらに原子力の建設需要が世界的に高まる中で、特に途上国への対応から原子力安全・核不拡散・核セキュリティを含めた包括的な推進体制の構築をサミットのテーマとして取り上げ、日本がリーダーシップを発揮すべきとした。

懇談会ではこれまでに山本良一委員(東大教授)が原子力の利用率を上げ、日本は原子力技術で世界に貢献すべきと指摘。寺島実郎委員(日本総合研究所会長)も今会合で国際的な原子力開発ルール作りと安全性確保への参画を求めている。


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