[原子力産業新聞] 2008年4月24日 第2426号 <4面>

年内にサイト選定作業開始 ブラジル・エレクトロニュークリア社 社長付顧問 レオナン・ギマランイス氏

ブラジルの1人あたりの電力消費量は非常に低く、電力システムの増強が喫緊の課題となっている。ブラジルの総発電電力量は、93.18%を水力が占めており、原子力発電のシェアは2.84%に過ぎないが、ブラジル第2の電源である。

ブラジルの国営原子力発電会社であるエレクトロニュークリア社は、2基のPWRを運転しており、現在、3基目となるアングラ3号機(PWR、135万kW)の建設準備を実施している。また将来を見据え、国産PWRの研究開発も行っている。

ブラジルでは水力発電の独占的なシェアを見直し、他電源とのミックスを図り、電力システムを安定化させることを目指している。2030年までの国家エネルギー計画は、天然ガス火力や石炭火力と並んで、原子力を増強する方針を掲げており、現在200万kWの原子力発電設備容量を、2030年までに730万〜1,130万kWへ拡大する計画だ。

標準ケースでは、2015年までにアングラ3号機を運開。その後2015年までに100万kW級国産PWRを1基、2025年までにさらに1基、2030年までにさらに2基を運開させる計画だ。国産PWRの立地サイトは、北東部のグアララペス地点および南東部のバンディランテス地点からそれぞれ選定されることになる。サイト選定作業は年内に開始する。

一方ブラジルは、世界第6位のウラン埋蔵量に恵まれている。これはまだ国土の30%しか調査をしていない段階での見通しであり、すべての地質調査を実施すれば、カナダやオーストラリアに匹敵するウラン埋蔵量となる可能性が高い。

また転換・濃縮・燃料製造能力も備えており、莫大なウラン資源と燃料製造までの技術(オープンサイクルのみ)を持った数少ない国の1つである。中期的にはラゴアレアル鉱山で、国内の原子力発電所用燃料をまかない、イタタイア鉱山のウラン資源を海外輸出へ回すことも計画している。ただし、使用済み燃料の再処理は計画していない。


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