[原子力産業新聞] 2008年4月24日 第2426号 <4面>

国際的なリーダーシップを 資源エネルギー庁 次長 平工奉文氏

アジアを中心に世界のエネルギー需要は急増している。中国等の大量消費国の登場により、資源獲得競争は激化し、資源国による資源の囲い込みなどもあいまって、世界のエネルギー需給構造は逼迫の様相を呈している。こうした中、今後新たに原子力発電の導入を検討している国は、20か国以上におよんでいる。

日本は、核不拡散、安全確保の高い実績と経験を有する、原子力平和利用のリーダー的存在であり、同時に原子力エンジニアリング、原子力関連機器製造の分野でも高い技術力を保持している。安全と経済性の両立を実現する日本の原子力産業の強みを、世界へ積極的に展開する国際的なリーダーシップの発揮が求められていると言えるだろう。

また日本は、世界全体のCO排出量を2050年までに半減させる「クールアース」構想を提唱している。同構想の実現に向け、CO回収・貯留(CCS)、革新的太陽光発電などとともに、次世代大型軽水炉、高速炉サイクル、途上国向けの中小型炉など先進的原子力発電の開発も掲げており、CO削減の切り札として大きな期待を寄せている。

7月のG8北海道洞爺湖サミットでは、地球温暖化問題への有効な解決策として、安全で平和的な原子力利用拡大の重要性を、日本のリーダーシップでアピールしていく。

日本は原子力分野で米英仏と緊密な協力関係にある。ベトナム、インドネシア、南アフリカ、カザフスタンなどとも協力関係を構築している。また戦略的な観点からもロシアとの原子力協力協定締結を模索しており、世界最大のロシアの濃縮設備容量に注目し、回収ウランの再濃縮利用や、日本の原子炉メーカーの提携先として互恵的な協力関係の構築を目指している。

新規原子力プラントの国内需要が先細る中で、日本の原子力産業界は国際展開を通じて技術力や人材を維持・拡大し、将来の国内原子炉のリプレースに向けた備えを磐石なものとする必要がある。


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