[原子力産業新聞] 2008年4月24日 第2426号 <5面>

「経済力から文化力へ」 午餐会 徳川時代に学ぶ生活観

原産年次大会会期中の16日昼、午餐会が東京プリンスホテルで開かれ、徳川宗家第18代当主で徳川記念財団理事長の徳川恒孝氏(元日本郵船副社長)が「江戸に学ぶ環境問題」と題する講演を行なった。

徳川氏は、「エコロジーの原点は平和」と指摘し、日本は江戸時代を通じて「260年にわたる平和を達成した世界唯一の国」と述べた。この間、全国的な治水工事を行い、壮大な新田開発が行われたことで、人口は1,200万人から元禄時代には3,000万人を超える増加となったと紹介。この間、城下町・街道の整備、貨幣の流通、法治国家の実現などのほか、大減税も行ったとした。

18世紀、八代将軍吉宗の時代には資源と人口のバランスが深刻に意識され、全国的な植林や不法伐採の禁止、里山・河川の汚染防止、鳥獣保護なども行ったという。江戸時代は「捨てるもののない世界で、あらゆるものをリサイクルしていた」として、豊饒な海の存在もあり、「完全な自給自足の社会を形成していた」と徳川氏は述べた。

そして同氏は、現在、我々の直面する課題として、「お金があれば何でも買える時代の終焉」を挙げた上で、これからは「経済力・軍事力の世界から、文化力の世界へ」と向かうことの重要性を強調して、講演を締めくくった。


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