[原子力産業新聞] 2008年5月1日 第2427号 <2面>

行政の「SOFT」重要 原子力委 片山・前知事が廃棄物で意見

原子力委員会の政策評価部会は4月18日、放射性廃棄物の処理・処分に関する第4回会合を開催、片山善博・慶応義塾大学教授(前鳥取県知事)と崎田裕子・持続可能な社会をつくる元気ネット理事長から意見聴取した。片山教授は原子力行政が信頼感を得るにはスピード、オープン、フェア、トランスペアレント(透明性)の4要素の“SOFT”が重要と改めて提起した。

片山教授は、鳥取県東郷町方面地区のウラン残土問題の経験から原子力行政と信頼感について意見を述べた。旧動燃との約束、岡山県との関係、裁判中及び最高裁判決後の対応などを説明した上で、約束(協定)したことは責任を持ちスピーディに履行すべき、早期に処理すれば高リスクの一部残土処理だけで解決した可能性があったと指摘。オープンな姿勢で対話する能力が不十分で、一般の人が理解できる説明能力が低いとした。また公平さを重んじる気風に乏しく、意思形成過程の透明性にも欠ける。原子力行政が広く国民から信頼を得るには、“SOFT”を実践することが何より重要とした。

崎田理事長は昨年11月から3月まで、全国5か所で資源エネルギー庁などと開催した地域ワークショップ「共に語ろう電気のごみ」を踏まえ、@中立公平に市民の信頼を得る「第三者機関」の検討A「省庁連携」で原子力関連政策全体をつなげるべき――と提言。地方自治体は放射性廃棄物問題を避けており、原子力政策全体が国民から遠い状況。地層処分だけ地域に入るのは無理で、エネルギー全体の中での原子力の位置づけを明示し、環境学習など教育の場での位置づけも重要とした。


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