[原子力産業新聞] 2008年5月15日 第2428号 <2面>

TRU廃棄物でも公募開始 NUMO 高レベル廃棄物と併置処分も可能

原子力発電環境整備機構(NUMO)は、この4月から同機構が行う処分事業の対象に、再処理施設やMOX燃料加工施設から発生する長半減期低発熱放射性廃棄物(TRU廃棄物)が追加されたのを受け、9日に同事業を分かりやすく解説したパンフレットを全国の市町村および都道府県などに送付した。

同機構は高レベル放射性廃棄物(第1種特定放射性廃棄物)の地層処分に加えて、TRU廃棄物のうち使用済み燃料の被覆管や放射性ヨウ素を吸着しているフィルターなどを、第2種特定放射性廃棄物として地層処分する。

同機構では、地層処分する低レベル放射性廃棄物を「地層処分低レベル放射性廃棄物」と呼び、4月2日から、全国の市町村を対象に最終処分施設の設置可能性を調査する区域の公募を開始し、今回、分かりやすいパンフレットを作って全国配布したもの。

地層処分低レベル放射性廃棄物は、高レベル廃棄物より発生量は多いものの、発熱量が小さいため集中的な処分が可能で、高レベル廃棄物と比べると地下施設の広さは30分の1程度となる。占有面積が狭くて済むこと、地上管理施設などの共有化ができることなどから、同一サイトの地下に、高レベル廃棄物とある程度の距離をおいて併置埋設処分することが望ましいと考えられている。

処分施設建設地の選定手順は高レベル廃棄物処分と同様で、文献調査、概要調査、精密調査を経て処分施設建設地の選定へと段階を踏んで進める。ただ活断層があったり、火山の中心から半径15km以内、また石炭などの地下資源がある場所は最初から除外されている。地下坑道への入り口などは陸上部分に建設されるが、地下300メートル以深にすることになっている埋設部分は海底下でも可能としている。

応募した市町村とその周辺地域には、地域振興などを図る交付金が交付されるが、経済産業省では地層処分低レベル放射性廃棄物のみの単独処分のための交付額としては、文献調査時に年1億4,000万円(期間制限の定めなし)、概要調査時に年9億8,000万円(総限度額34億3,000万円)としている。

高レベル廃棄物との併置処分のケースでは、調査段階のこともあり特に額の上積みはせず、今年度末までに文献調査が開始された場合には年10億円(期間内総限度額20億円)、概要調査時に年20億円(同70億円)が交付(交付額の半額以上が応募市町村に)され、複数地点からの応募にも対応する方針だ。


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