[原子力産業新聞] 2008年5月29日 第2430号 <1面>

東電 新基準地震動を策定 柏崎刈羽発電所 耐震補強は1,000ガルで対応 想定上回る地震動の原因も解明

東京電力は22日、柏崎刈羽原子力発電所の中越沖地震観測データと、これを踏まえた基準地震動策定に関する報告書を原子力安全・保安院に提出した。新たに策定した基準地震動の最大加速度は、2,280ガル(1〜4号機)で、旧耐震設計審査指針に基づく基準地震動(S2)450ガルの約5倍となっている。同社では今後、柏崎刈羽全号機に対して、強度1,000ガルの耐震工事を実施することとしている。

東京電力は本件について、同日開催の総合資源エネルギー調査会の「地震・津波、地質・地盤合同WG」で説明した。

これまでの地質調査、観測データの分析結果を踏まえた上で、敷地に与える影響が大きい敷地周辺のF―B断層(M7.0)、長岡平野西縁断層帯(M8.1)による地震により解放基盤表面における基準地震動を策定したところ、最大加速度は1〜4号機で2,280ガル、5〜7号機で1,156ガルとなった。地震動の減衰を考慮し、最終的に安全上重要な設備に影響を与える原子炉建屋基礎版上の地震動は、1〜4号機側最大加速度が約660〜830ガル、5〜7号機側最大加速度が約540〜660ガルと評価した。

東京電力は今後、原子炉建屋基礎版上で中越沖地震の1.5倍レベルに相当する1,000ガルの揺れに耐えられるよう工事を実施していくほか、大深度地震観測に向けた検討を行うなど、一層の耐震安全性向上を図ることにしている。

中越沖地震の観測データについては、地震源の発生エネルギー(M6.8)に比べて同発電所での地震動が大きくなった要因として、@震源の影響(約1.5倍)A周辺地盤深部の堆積層の厚さと傾きの影響(約2倍)B発電所敷地下にある古い褶曲構造(1〜4号機側で約2倍)――を挙げている。敷地下の古い褶曲構造の違いは、1〜4号機側が5〜7号機側に比べ2倍程度地震動が大きくなった要因にもなっていると評価した。


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