[原子力産業新聞] 2008年5月29日 第2430号 <2面>

「地元に軸足置く政策を」 全原協が総会 首相の推進発言を高く評価

全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協、会長=河瀬一治・敦賀市長)は23日、平成20年度定例総会(=写真)を開き、甘利明経産相が挨拶したほか、河瀬会長らの再任を決めた。

冒頭、河瀬会長は今年4月の日本原子力産業協会の年次大会に出席した福田首相が「我が国の一貫した原子力の開発利用は間違っていなかった」と明快に述べたことについて、「全原協として、たいへん意を強くする思いであり、改めて日本の電力安定供給への貢献に自負を抱いた」と述べた。

国に対する要望として、「原子力を進めるのは立地地域の住民であり、時には思わぬ風評の矢面に立ちながら、国策の現場で苦労を重ねている立地市町村であることを、いま一度認識してほしい」と訴え、市町村に軸足を置いた施策を要請した。

同会長はまた、何よりも国と立地市町村との信頼強化が重要であり、安全・安心の確保や地域振興が実現し、「誇りと自信を持って取り組める環境」が作られることが重要だと指摘した。

来賓挨拶した甘利経産相は、柏崎刈羽原子力発電所の基準地震動などの見直しで新たな数値が出されたことについて、実際の補強は原子炉機器や建屋などの補強ではなく、冷却水配管や取排水口などの補強が必要になるものだと説明し、「十分な耐震補強をしていくので安心してほしい」と述べた。

近藤駿介原子力委員長も挨拶し、高レベル放射性廃棄物の処分場立地などは国民全体として支持する必要があり、原子力関連施設の立地自治体だけでなく、非立地県にも行って対話を行っている、と新たな活動の一端を紹介した。

総会の第2部「原子力発電所の地震対策に関する意見交換」では、会田柏崎市長、品田刈羽村長から被災状況について説明を受けた後、鈴木原子力安全委員長、薦田原子力安全・保安院長らが説明した。

加藤保安院審議官は、「直接現場の状況を把握し、保安院自身が判断し、地元自治体にも情報提供するシステムを現在検討中だ」とした。

会場の市町村参加者からは「基準地震動について全国的な最低基準を示すことはできないのか」、「堆積層という言葉が出てくるが岩盤ではないのか」、「専門委員会の委員の資格明文化はできないのか」などの質問が出された。


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