[原子力産業新聞] 2008年6月5日 第2431号 <3面>

規制委に建設認可申請 米エネルギー省 ユッカマウンテン処分場で

米エネルギー省(DOE)は6月3日、ネバダ州ユッカマウンテンに原子力発電所からの使用済み燃料を主とする高レベル放射性廃棄物の処分場を建設する認可申請書を原子力規制委員会(NRC)に提出した。DOEが1983年に電力会社と結んだ契約では、98年1月31日までの操業開始が予定されていたが、建設計画に対する議会と大統領の承認が得られたのは2002年のこと。当初計画から二十余年を経て、ようやく新たな段階に踏み出すとともに、バックエンド対策が前進することで、米国内における新規原子炉の建設にも一層大きな弾みがつくものと期待される。

8600ページにおよぶ申請書には、ラスベガスの北西約90マイル、モハベ砂漠中に位置するユッカマウンテンの深地層にトンネルを掘削し、使用済み燃料と高レベル放射性廃棄物(HLW)を安全に隔離するための計画が記載されている。米国初の永久処分場となる同施設の建設にNRCの認可が得られれば、国内の39州・121箇所に暫定貯蔵されている6万5000トンとも言われる廃棄物の処分が可能になる。DOEは今回の申請書の添付資料として、最終環境影響声明書(EIS)と200編の補助資料を提出しており、NRCは直ちにこれらの文書の受領審査を開始する。正式な審査については、放射性廃棄物政策法とNRCの規制条項に則り、約3年間を要する予定だ。

DOEのS.ボドマン長官は、「今回の申請は、エネルギー供給保証や地球環境問題の解決、そして国家安全保障に非常に重要な役割を果たす原子力発電の拡大を一層促すことになるだろう」と明言。「科学者や技術者達の20年以上にわたる科学研究とエンジニアリングの集大成であり、当省にとっても大きなマイル・ストーンと言える」との見解を示した。また、NRCの厳正な審査により、「ユッカマウンテンが使用済み燃料とHLWの安全な処分場であり、将来にわたって人々の健康と環境を守ると確認されるだろう」と述べ、安全性に自信を覗かせた。


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