[原子力産業新聞] 2008年6月19日 第2433号 <1面>

「原子力利用率の向上を」 自民・対策本部が中間報告

自民党の地球温暖化対策推進本部(本部長=野田毅・衆議院議員)は11日、洞爺湖サミットに向けた中間報告「最先端の低炭素社会構築に向けて―来るべき世代と地球のために―」をまとめた。政府に「2008年ピークアウト宣言」の発出や「低炭素社会形成推進基本法」の制定を求め、12の主要政策項目を提示。原子力は、新規建設の推進や設備利用率向上などを掲げた。報告は福田康夫総理に申し入れる。

同報告は基本的考え方として、政府がピークアウト宣言以後の10年間を「特別行動期間」として、支援措置や規制をはじめとする政策を総動員、速やかに新たな政策体系に移行すべきとし、長期の温室効果ガス削減目標は2050年で現在の60〜80%の削減幅の提示が妥当としている。

原子力は、12の主要政策の1つ。その具体策は、(1)2020年までに9基(約1,200万kW)の運転開始の着実な実現(2)既設原子力の活用(3)中長期的利用への取組み(4)適切な安全規制の実施(5)理解促進及び人材の育成(6)立地地域との原子力の経済的一体化促進(7)世界的利用拡大のための環境整備(8)原子力産業の国際展開支援――など。

新規建設では税制優遇などの資金面での支援を求め、既設の活用ではオンラインメンテナンスの拡大、連続運転期間の柔軟化などの海外の先行事例も参考に追加的措置を講じ、主要国並みの設備利用率を達成すべきと指摘。中長期的利用では、各種核燃料サイクル政策、次世代軽水炉やFBRサイクルの技術開発などの推進を挙げ、立地地域では技術力を持った地場企業の計画的育成への支援が必要とした。

また、世界的利用拡大の中で、一定条件の下に限って原子力をCDMスキームの対象に加えるよう努力すべきとし、産業の国際展開で、途上国における原子力導入を促すための周辺インフラ整備に向けた財政支援として、ODA枠の積極的活用の検討を提言した。


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