[原子力産業新聞] 2008年6月19日 第2433号 <3面>

米デトロイト・エジソン社 フェルミ増設に GE日立のESBWRを採用

米国のGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社は16日、米国ミシガン州最大の電力会社であるデトロイト・エジソン(DTE)社がデトロイトの南35マイルに位置するエンリコ・フェルミ−2原子力発電所への1基増設用として、GEHが開発した第3世代+型の原子炉であるESBWRを採用したと発表した。

ESBWRは、新規建設に向けた新しい許認可の実証を目的とする米エネルギー省(DOE)の補助金プログラムの支援対象炉。すでにドミニオン社のノースアナ発電所、エンタジー社のグランドガルフおよびリバーベンド発電所、エクセロン社がテキサス州で計画中の新規発電所サイトで採用が決まっており、DTEは米国内でESBWRを採用する4番目の電力会社となった。これらを含め、GEHは現在米国で新設が予定されているサイトにおいて、合計6基のESBWRが採用される見込みであることを明らかにしている。

今後GEHはDTEとの合意に基づき、建設・運転一体許可(COL)申請に係わる技術支援をDTEに提供していくことになるが、DTEとしては9月にも米原子力規制委員会(NRC)に同炉のCOLを申請する予定。152万kWのESBWRを採用する計画となることはすでにNRCに連絡済みであるとしている。

今回の決定についてGEHのJ.フラー社長兼最高経営責任者はミシガン州がまとめた「21世紀のエネルギー計画」に触れ、「州の長期的なエネルギー需要を満たすためにDTEが進めている計画で、ESBWRが選定されたことは喜ばしい」と強調。GEHとしても、今回のプロジェクトにより、建設工事に3,000人の一時雇用、技術職・サポート職として700人の恒久雇用が創出されるほか、ミシガン州には年間5億ドルの経済波及効果が見込まれると予想していることを明らかにした。

一方、DTEのA.アーリー会長兼最高経営責任者は、「実際に発電所を建設するには、ミシガン州政府による規制が変更される必要がある」と指摘。2005年エネルギー政策法が定める連邦政府の財政支援を受けるために今年末までにCOLを申請しなければならないが、それによって必ずしも原子炉の建設が確約されるわけではない点を強調している。


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