[原子力産業新聞] 2008年6月19日 第2433号 <4面>

カザフと高温ガス炉協力 原子力機構 同国原子力委と覚書

日本原子力研究開発機構とカザフスタン原子力委員会(ティムール・ザンチキン議長)は9日、カザフスタンの首都アスタナで、高温ガス炉の安全性研究に関する協力取決めの締結に向けた覚書に署名した。

原子力機構とカザフスタン国立原子力センターは、昨年4月に甘利明・経産相よるハイレベル官民合同ミッションがカザフスタンを訪問した際に、「原子力研究開発における将来の協力のための覚書」に署名。同国における熱電併給用の小型高温ガス炉の導入の技術的検討を進めている。併せて、同ガス炉の建設に必要な安全審査体系や安全設計方針の整備を担っている同原子力委員会からの協力要請に基づき、原子力機構は同委員会とも協議を重ねてきた。

今回の覚書の署名は、この協議により、同国における高温ガス炉の安全性研究の推進が重要であるとの共通認識に至ったもの。今後、両者は高温ガス炉の安全性研究、原子力機構のHTTR(高温工学試験研究炉)の建設・運転・試験で蓄積した安全に関する情報交換などの具体的な協力内容の検討を進める。

カザフスタンは、原子力発電導入案として、南部地域で電気出力100万kW級の大型軽水炉、西部地域で同30万kW級の中型軽水炉、地方都市で熱出力5万kW級の熱電併給小型炉の導入を打ち出している。高温ガス炉は、熱電併給小型炉の最有力候補として検討しており、日本の技術が期待されているという。


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