[原子力産業新聞] 2008年6月26日 第2434号 <1面>

ITERコイル調達本格化 原子力機構 製造に入札で万全期す

原子力機構は国際熱核融合実験炉(ITER)建設に向けて、今年度最初の公開入札(「招請」)を23日付け官報で開始した。

発生した高温プラズマを真空容器内に閉じ込めるための超伝導トロイダル磁場(TF)コイルを作製しフランスに納入するため、今回は特に約6年間という短期間に材料調達、巻線部と構造物の製作、さらに大型コイル構造物への一体化と仏カダラッシュなどへの輸送というITER実現へ向けた最初の最大の関門を、いかに確実にこなすことができるかの管理体制と事業遂行の企業意志を求めているのが大きな特徴となっている。

TFコイルは巻線部(高さ13メートル、幅8.5メートル、重量約100トン)9個と、構造物(高さ16メートル、幅9メートル、重量約200トン)19セットを製作し、うち9個のTFコイルを完成し、カダラッシュにあるITER建設地に輸送すること。また、残り10セットはEU側が組み立てるため原子力機構が指定する欧州のコイル製作メーカーへ輸送すること。これらを2014年までに3期間に分けて、技術を検証しながら進めることになっている。

今回の調達計画では、入札会社の物品製作に必要な設備容量、製作・管理体制、製作工程などを示す資料、TFコイル作製・仏への納入までの事業を確実に実行するための必要事項、技術的課題などについても包括的な意見を求めている。入札書類の提出締切りは7月28日まで。

原子力機構では入札説明書を交付しているほか、7月1日午後2時から茨城県那珂市の同機構・那珂核融合研究所で説明会を開催する。


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