[原子力産業新聞] 2008年7月3日 第2435号 <3面>

カナダ オンタリオ・パワー社 リプレース設備 ダーリントンに建設

カナダ・オンタリオ州の州営電力であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社は6月16日、オンタリオ州政府が州内の既存原子力設備のリプレースとして検討している2基の原子炉について、OPGがダーラム地方で操業しているダーリントン原子力発電所サイト(CANDU炉4基、各93.4万kW)に建設することになったと発表した。この発表は同日、オンタリオ州政府およびカナダ連邦政府のG.フィリップス・エネルギー相による同様の発表の後に行われたもの。同社は今後、年内にも原子炉供給業者を決定し、2018年の運転開始を目指して、更なる手続きを進めていく。

オンタリオ州は2006年に「今後20年間のエネルギー計画」を策定し、原子力については現在の州内の設備容量である約1,400万kWを維持するとの方針を打ち出している。このため、今年3月には、リプレース用原子炉の建設に適切な原子炉供給業者を選定する目的で2段階構成の機器調達プロセスを公表。OPG、ブルース・パワー社、および関係2閣僚で構成される「機器調達管理チーム」が、国際的に認知されているメーカーの中から、(1)仏アレバ(USEPR)(2)カナダ原子力公社(ACR1000)(3)GE日立ニュークリア(GEH)社(ESBWR)(4)ウェスチングハウス社(AP1000)の4社を、原子炉機器調達プロジェクトの設計提案(RFP)第1フェーズに招待した。その後4月に、GEH社はESBWRの米国設計認証取得に集中するため、このプロセスから脱退したが、「機器調達管理チーム」は5月に3社からの回答を受理。6月5日にはこれらの内容が満足のいくものであったとの評価を下すとともに、第2フェーズの「提案要請(RFP)」に参加を促していた。

今回、OPGはリプレース炉の立地点のほかに、このRFPの詳細を公開。それによると、(1)廃炉費まで含めた耐用年数全体の運転維持費や資本費(2)2018年7月に送電開始という州の建設目標スケジュールに合わせる能力(3)州内の機器供給業者に対する下請け発注レベル、などの比較に主眼を置くとしている。

このように州政府は原子炉供給業者の選定も含めて資金調達、契約関係の交渉などを進めていく予定だが、OPGとしても、現在進めている環境影響調査や許認可手続きを加速していくことになる。

今後のスケジュールとしては、7月〜10月に供給業者ごとに個別の会合を重ねて原子炉設計の準備状況や商業的な側面について協議。10月を第2フェーズのRFP提出期限とし、11月末を目処に3社の回答の中から適切なものを選定。12月末までには契約を締結したいとしている。


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