[原子力産業新聞] 2008年7月10日 第2436号 <2面>

進展なければ再検討も 原子力委部会が評価案

原子力委員会の政策評価部会は3日、「放射性廃棄物の処理・処分に関する取組みの評価案」を取りまとめ、パブコメに付した。結論では、改めて高レベル処分が原子力政策の上で特に重要と提起し、今後2、3年間最大の努力を重ねても見通しが得られない場合、同委員会は98年の「高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書」に立ち返り、再検討することを考慮すべきとした。

評価案は先月5日の審議を反映させた。高レベル処分の理解と協力を得るための取組みでは、いまだ文献調査に至っておらず、昨年11月にエネ調の廃棄物小委が取りまとめた強化策に沿った取組みが必要と指摘。NUMOの機能・体制強化の具体的目標の設定と実施なども求めている。

また高レベル放射性廃棄物地層処分の研究開発では、NUMOの技術力の一層の向上などを求めるとともに、ガラス固化体の品質についても言及し、安全審査の考え方や技術要求の在り方などに関する意見交換が必要としている。

長半減期低発熱放射性廃棄物(TRU廃棄物)では、技術課題等の分かり易い説明が必要とし、研究施設等廃棄物では原子力機構法改正の趣旨に従い、制度整備に取組むべきとしている。

原子力委の「高レベル放射性廃棄物処分懇談会」は、95年から約3年間の検討により、高レベル処分の理解活動、技術と制度、立地地域との共生、処分地選定プロセスなどの基本方針を取りまとめた。

同報告に立ち返るとは、こうした基本方針も含め、処分事業の推進方策の抜本的な再検討も視野に入れるべき、との姿勢を示している。


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