[原子力産業新聞] 2008年7月10日 第2436号 <4面>

重粒子線は放射線に抵抗するがんに有効 原子力機構と群馬大

日本原子力研究開発機構と群馬大学はこのほど、がん遺伝子Bcl―2が働き、γ線やX線に抵抗性を示すがん細胞に対し、重粒子線が高い致死効果があることを世界で初めて発見した。

がんの中にはγ線やX線など、従来の放射線治療ではあまり治療効果がないタイプがある。その1つが、がん遺伝子Bcl―2の働きでアポトーシス(細胞の自殺)が抑制、がん細胞が死に難くなるタイプ。乳がんの約8割、大腸がんの半数以上など、がんの半数近くがこれにあたる。

両者は、高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設(TIARA)を用いてがん細胞への重イオン照射効果の研究を進めてきたが、今回、Bcl―2を組み込み人為的に過剰発現させた培養がん細胞に重イオンビームを照射、抵抗性を示さないことを発見した。Bcl―2が活発に働くと、γ線やX線では抵抗性を示すが、重粒子線ではBcl―2の有無に関わらず、抵抗性は見られないという。


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