[原子力産業新聞] 2008年7月24日 第2438号 <1面>

米印原子力協定を推進へ インド下院 シン内閣信任を可決

インドの下院は22日、シン首相自らが提出していた内閣信任決議案を採決し、賛成275票、反対256票、棄権10票で可決した。これにより米印原子力協定の発効に向け、同国内の手続きが進む見通し。

シン首相は、経済成長の維持には原子力発電を拡大し、エネルギー不足を解消する必要があるとし、核拡散防止条約(NPT)未加盟ながら、民生用施設に核燃料や関連技術の供与を受けられる同協定の発効に力を入れてきた。しかし閣外協力してきた左派勢力が、「米国への従属」などとして反対。同協定で義務付けられている国際原子力機関(IAEA)との査察協定締結の交渉も中断していた。だが今月に入り、シン首相が同交渉の再開を表明。左派勢力は閣外協力撤回を正式に決め、与党連合は下院での過半数を失い、信任決議提出となった。

今回の内閣信任決議案の可決により、インドはIAEAとの間で、民生用施設だけを査察対象とする査察協定の締結を促進する方針で、IAEAも来月1日に理事会を開き、同協定の内容を審査する予定。

協定発効には、IAEAとの査察協定の締結とともに、原子力供給国グループ(NSG)の承認、米議会の承認なども必要。シン首相は洞爺湖サミットの際、ブッシュ米大統領と会い協定推進を確認したが、最終的な協定発効の成否は依然、不透明な状況といえる。


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