[原子力産業新聞] 2008年8月28日 第2442号 <2面>

耐震安全性等で要望書 泉田新潟県知事 二階大臣・鈴木委員長に

新潟県の泉田裕彦知事は22日、二階俊博・経産相(=写真左)や鈴木篤之・原子力安全委員長を訪ね、原子力発電に関し、耐震安全性の向上、大規模自然災害発生時の対応強化、安全規制体制の客観性と信頼性の確立などが必要とする要望書を提出した。

「原子力発電及び原子力行政に対する信頼の回復について」とする要望書は、北海道東北地方知事会(会長=寺田典城・秋田県知事)として取りまとめたもので、泉田知事が代表して提出した。

知事は、「中越沖地震では想定を超える地震動が発生し、地元住民は不安を持ち、原子力発電や原子力行政に対する信頼が揺らいでいる」と指摘。二階大臣は、「地元の声にしっかり耳を傾けたい」とし、要望書の内容について事務レベルで協議したいと応じた。会談で、柏崎刈羽原子力発電所に関する言及はなかった。

要望書は、新耐震設計審査指針の妥当性を検証し、必要に応じた見直しが必要と指摘。現行の原子力災害対策特別措置法は自然災害を想定しておらず、災害発生時の情報提供の仕組みについて、災害対策基本法との枠組みを含め、法令に明確に位置付けるとともに、原子力事業者が定める防災業務計画の所管省庁を、総務省消防庁と共管にすべきとしている。またデータ改ざん等に続く今回の事態で、国の安全規制体制に対する信頼が損なわれたとし、安全規制を行う組織の独立性を高めることも求めた。

要望書の内容について、泉田知事は、「知事会全体の考えをまとめたものだが、知事会には原子力発電を有効活用するという基本的な考え方もある」と説明した。

鈴木委員長には、耐震設計審査指針の必要に応じた見直しを要請するとともに、地元には安全委員会の動きが見え難いと指摘。同委員長は、そうした認識を持っており、今後、公開討論など立地地域に対する活動を拡充したい、とした。


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