[原子力産業新聞] 2008年9月4日 第2443号 <1面>

今年度比6%増の4,914億円 来年度概算要求 FBRなど技術開発重点に

文部科学省、経済産業省など各省庁は、8月末までに09年度の概算要求をまとめた。これをもとに原子力委員会は2日、原子力関係の09年度概算要求を発表、総額は08年度予算比6%増の4914億円となった。文部科学省が同5.3%増の2753億円、経済産業省が同7%増の2048億円、その他省庁が同5.3%増の113億円。FBRサイクルや次世代軽水炉の技術開発、ITER計画などに意欲的に取り組み、国際協力、人材育成、耐震安全性なども一層拡充する。

原子力委員会のまとめによると、総額4914億円の内、一般会計が同11%増の1381億円、エネルギー対策特別会計が同4%増の3533億円。同会計では、電源立地対策が同5%増の2055億円、電源利用対策が同4%増の1478億円となっている。

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文科省は28日に発表した概算要求で、原子力に関し、「重要課題が目白押し」とした。高速増殖炉サイクル技術の同28%増の372億円、ITER計画等推進の同19%増の123億円、大強度陽子加速器(J−PARC)の同8%増の206億円など。原子力人材育成プログラムは同18%増の2.6億円、研究施設等の放射性廃棄物処分に向けた積立等は同65%増の72億円を要求した。

独立行政法人に必要な経費の要求額では、日本原子力研究開発機構が08年度比8%増の2011億円、放射線医学総合研究所が同5%減の118億円などとなっている。

予算区分上、原子力関係に含めないが、11年度からの共用開始を目指す「X線自由電子レーザー開発利用」は、同23%増の135億円、地震・防災分野では、「活断層調査の総合的推進」に同70%増の8億円を要求、沿岸海域の長大な活断層を中心とした地質調査の新規実施を見込んでいる。

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経産省は27日に発表した概算要求の重点政策の第一に、低炭素社会の実現を掲げた。エネルギーの供給と需要の構造革新を推進、供給側は新エネ加速と原子力拡大を柱とする。

原子力関係の主要施策は、次世代軽水炉やFBRなど先進的原子力発電技術開発が同42%増の91億円、フルMOX炉や新型遠心機など軽水炉核燃料サイクル技術開発が同40%増の67億円、海外ウラン探鉱支援事業が同25%増の15億円などで、世界的な原子力発電導入の拡大に対応した国際貢献は同17%増の14億円を要求した。

放射性廃棄物対策は同5%減の55億円、原子力発電施設等と地域との共生の実現(各種交付金・補助金)は同7%増の1380億円を計上している。

保安院は同3%増の339億円で、耐震安全性対策の強化が同3%増の35億円、高経年化対策の充実が同18%増の26億円、安全研究の技術的基盤の確保に同額の18億円など。

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この他、外務省がIAEA分担金および拠出金の同4%増の89億円など合計同5%増の91億円、内閣府が同5%増の21億円、原子力災害対策充実を大幅に増額する総務省が同36%増の1700万円など。


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