[原子力産業新聞] 2008年9月4日 第2443号 <1面>

アジアネットワーク構築へ 保安院・JNES 事故・故障情報を共有

原子力安全・保安院は8月28日の総合資源エネルギー調査会原子力防災小委員会の事故故障対策WG(主査=宮健三・法政大院客員教授)で、原子力施設の事故・故障情報に関し、組織的に分析する国内体制の整備や日中韓3か国のネットワーク構築を検討中であることを明らかにした。

同WGは、事故・故障案件を専門家が技術的側面から議論しているが、委員から各事案の発生構造などを分析した一段上位の議論も必要との意見が出ていた。今会合で保安院の原子力事故故障対策室は、米国およびEUでの取組みを紹介するとともに、原子力安全基盤機構(JNES)を含む規制当局として、事故・故障に関する情報分析体制強化に向け、検討を進めていると説明した。

保安院は、米国原子力規制委員会(NRC)が運転経験プログラムの中核を担う組織として05年に設立したクリアリング・ハウス、EUが現在、設立に向け準備を進めている同様な組織などを参考に、具体化に向けて検討しており、検討状況は適宜、同WGに報告するとした。

日中韓の事故・故障に関するネットワークの検討は、06年にフランス、ドイツ、ベルギーの3か国のTSO(技術支援機関)が運転経験のフィードバック強化に向けたネットワーク構築で合意したことなどを参考に、JNESが検討を進めている。会合でJNESは、「まだスキームを説明できる段階にないが、アジアのネットワーク構想が進行中」と説明した。

なお、同WGはこれまで非公開で開催してきたが、一層の透明性の確保を進めるため、今会合から公開となった。


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