[原子力産業新聞] 2008年9月4日 第2443号 <2面>

年内に製造企業選定へ 原子力機構 ITER用TFコイル

原子力機構は国際熱核融合実験炉(ITER)の超伝導トロイダル磁場(TF)コイルを日本で作製しフランスに納入するため、約6年間に材料調達、巻線部と構造物の製作、さらに大型コイル構造物(約300トン)への一体化と仏カダラッシュなどへの輸送というITER実現へ向けた最大の関門を、確実にこなすことができるようにするため、メーカーなど民間からの提案を積極的に募集して、現在、その検討を行っている。

「資料招請」という形で官報に公示、民間から企業の物品製作に必要な設備容量、製作・管理体制、製作工程などを示す資料、TFコイル作製・仏への納入までの事業を確実に実行するための必要事項、技術的課題などについて包括的な意見などを求めることを通じて、その企業の管理体制と事業遂行の意志を求めたのが大きな特徴だった。

7月末までに寄せられた意見、コメントを、今後作成するTFコイル製造仕様書に反映後、再度、「意見招請」する計画で、この作業には数か月を要する。その後、実機大モックアップTFコイル一体の「入札」となるため、実際に契約企業が決定するのは、早くて年末ごろになる見込みだ。

実機のTFコイルは巻線部(高さ13メートル、幅8.5メートル、重量約100トン)9個と、構造物(高さ16メートル、幅九メートル、重量約200トン)19セットを製作し、うち9個のTFコイルを完成し、カダラッシュにあるITER建設地に輸送する。また、残り10セットはEU側が組み立てるため原子力機構が指定する欧州のコイル製作メーカーへ輸送する。これらを2014年までに、技術を検証しながら進めることになっている。


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