[原子力産業新聞] 2008年9月11日 第2444号 <1面>

供給国グループ 対印協力に合意 日本政府も苦慮し賛成 米議会承認日程に焦点移る

日本を含む45か国で原子力関連資機材の輸出管理に取り組んでいる原子力供給国グループ(NSG)は4日〜6日、ウィーンで開催した臨時総会で、インドの核実験モラトリアムの継続等を条件に核不拡散条約(NPT)未加盟で核保有国となったインドを例外扱いとし、同国に対する原子炉や核燃料の輸出規制を解除するという米国の提案をコンセンサス(全会一致)で承認した。これにより、米印原子力協力協定発効に向けて残ったハードルは米国議会による承認のみとなったが、同協定の締結を推し進めてきたブッシュ現政権の任期切れが来年1月に迫っていることから、年内承認の見通しは未だ不透明な状況だ。日本政府高官はそろって、難しい判断だったことを認めている。

インドを例外扱いするための声明文では、インドがこれまで取ってきた行動として、(1)核実験の自主的モラトリアム継続(2)核兵器用核分裂性物質生産禁止条約締結に向けて他国と協力していく姿勢(3)民生用原子力施設を段階的にIAEA保障措置対象に追加申告する合意(4)濃縮および再処理技術を有していない国に対するこれら技術の移転を控えるとともにこれらの拡散を制限する国際的な努力の支持――などを高く評価している。

同声明文では、インドが今後、核実験などを行った場合の措置として明確な条件は盛り込んでいないものの、「1か国あるいはそれ以上の参加国が協議を必要とする事態が発生した場合は、参加国政府は会合を開き、NSGガイドラインのパラグラフ16(協議および行動)に従って行動する」との文言が盛り込まれた。

1974年にインドの第1回目の核実験を契機に設立されたNSGは30数年を経て、インドへの禁輸解除に踏み切る判断を下した。

薮中三十二外務事務次官は8日、「難しい判断を全体として行わざるを得なかった」と述べた。


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