[原子力産業新聞] 2008年9月11日 第2444号 <1面>

ITER用 ポロイダルコイル調達開始へ 那珂研で試験コイルの性能確認

フランスのカダラッシュに建設する国際熱核融合実験炉(ITER)用のポロイダル磁場コイルに採用予定のニオブ・チタン超伝導導体の性能試験を行なってきた原子力機構は5日、要求性能をクリアしていることを確認した、と発表した。

今回の成果を受けて、ITER用ポロイダルコイルを担当する欧州、ロシア、中国は導体の調達を開始する。

今回の試験用超伝導コイルは、ロシアが製作したニオブ・チタン超伝導線を、大電流を得るために1440本束ねて撚り線とし、欧州がこの撚り線にジャケットと呼ばれるステンレス管を被せて導体に仕上げコイル形状にしたもの。同機構が大型超伝導コイルの試験実績を豊富に有することから、茨城県の那珂核融合研究所で試験を行った。その結果、磁場6.4テスラ、温度4.5Kの条件下で52kAの大電流通電に成功し、コイル製作技術も確立された。

大電流を安定して通電させるためには、1440本の超伝導線どうしの接触抵抗を小さくして各超伝導線に均一の電流を流すことが重要になるが、その一方で変動磁場による導体での発熱(交流損失)を低減するため、接触抵抗を大きくする必要があった。この相反する技術要求を実現するために、超伝導線の表面に被覆を施して接触抵抗を適切なものにすることができるという原子力機構の知見に基づき、今回のニオブ・チタン導体では、厚さ2μmのニッケルメッキを超伝導線の表面に施す手法を採用することで、この問題を解決した。

同試験用コイルは外径1.6メートル、長さ3.4メートルの円柱形で重量が六トン。ポロイダルコイルは、プラズマの形や位置を制御するためのもので、高温プラズマを磁場で閉じ込めるトロイダルコイルのような高磁場を必要としないため、ニオブ3スズではなくニオブ・チタンの汎用素材を使用する。


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