[原子力産業新聞] 2008年9月18日 第2445号 <2面>

浜岡5T損傷で提訴 中部電力 設計・製造元の日立を

中部電力は12日、浜岡原子力発電所5号機低圧タービン動翼損傷に伴う損害賠償を、設計・製造元の日立製作所に対して求める訴えを東京地方裁判所に提起した。請求内容は、同機の停止に伴う火力機振替費用等で、総額418億円と法定利率による遅延損害金。

浜岡5号機は06年6月、運転中に「タービン振動過大」警報が発報、原子炉が自動停止した。その後の調査により、低圧タービン第12段の動翼羽根全840本中、計663本に損傷が見られ、うち1本の折損が判明した。発生原因は、「ランダム振動」、「フラッシュバック振動」といった蒸気の不規則な振動や逆流現象に伴う応力によるひび割れ進展とみられている。日立では、当該タービンについて、これら現象を考慮した新たなタービンを設計、製造することとしており、損傷のために発生した点検、対策等の費用については、既に同社が負担することとなっている。

日立の設計、製造による同型式のタービンは、北陸電力志賀2号機でも使用されており、同機でも第12段羽根全840本中、計258本に損傷が見つかっている。当該タービンは、ABWR型原子炉、定格電気出力135万kW、毎分1800回転機として、世界で初めて設計された。

日立では今回の提訴について、「内容を確認した上で、慎重に対応していく」としている。


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