[原子力産業新聞] 2008年9月18日 第2445号 <2面>

重粒子線がんセンター実現へ 佐賀県が計画

佐賀県は、重粒子線照射装置を備える「九州先端医療がんセンター」(仮称)の13年春供用開始を目指し、具体的な事業スキーム整備を開始する。古川康県知事が5日の会見で発表したもの。同センターは、高速道、建設中の九州新幹線が分岐する交通の要衝、鳥栖市に設置される計画で、これら交通の利便性とも相まって、北部九州地区の放射線治療の拠点として期待される。

県の当初の粒子線がん治療計画では、陽子線をまず導入する予定だったが、次世代照射装置の開発に目処がついてきたことから、より治療能力の優れた炭素線を整備することとなった。

事業スキームは、資金調達、施設を整備・保有する特別目的会社を設け、医療法人が同社から建物・装置を借りて実際の経営を行うことを想定している。炭素線治療は、放射線医学総合研究所、兵庫県立の施設が稼働しているが、民間主導によるものは初めて。

事業費は、初期投資費用として約150億円を見込んでおり、そのうち130億円は出資、寄付、融資で賄い、残りの20億円を県の財政で当てる考えだ。

今後は、経済界、医療機関ら関係者による「サポーターズミーティング」を近く立ち上げ、年度内を目標に特別目的会社、医療法人を設立し、施設を整備していく方針だ。

古川知事は、「他の県では治らないがんが佐賀県の医療機関で治るという状態を是非実現したい」と強い期待をかけている。


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