[原子力産業新聞] 2008年9月25日 第2446号 <3面>

ベトナム ニン・トゥアン省で原子力展示会を開催

原産協会と日本貿易振興機構は4日から6日までニン・トゥアン省ファン・ラン市で、ニン・トゥアン省人民委員会、ベトナム電力公社(EVN)、ベトナム原子力委員会(VAEC)との共催で、「原子力発電展示会およびセミナー」を開催した。

これは、今年5月に日本の経済産業省とベトナム商工省が「ベトナムにおける原子力発電導入に係る協力文書」に署名・交換したことから、その枠組みの中のPA協力として開催されたもの。「原子力発電所と地域の共存」をテーマに、日本からは電気事業連合会や電力会社、原子炉メーカーらが参加する一方、ベトナム側からはニン・トゥアン省のラン知事やギー副知事らを筆頭に、科学技術省のティエン副大臣や電力公社のタイン副社長、ベトナム原子力委員会のタン委員長などが出席した。

サイト候補地の住民を含めた一般の来訪者数も予定を上回る盛況ぶりで、展示会で約3,000人、セミナーでは約650人が参加。アンケートや記者会見で多くの質問を投げかけるなど、開催の狙いである住民の理解促進に大いに貢献するイベントとなった。

これらに合わせ、日本側参加者の一部は建設候補地であるニン・トゥアン省南部のフォック・ディン村と北部のビン・ハイ村を視察している。

   ◇  ◇  ◇   

ベトナムのグエン・タン・ズン首相は3日、同国に原子力発電所を導入するためのプロジェクト報告書を審査する機関として、「原子力発電国家評価委員会」を計画投資省(MPI)内に設置した。

現在ベトナムでは、2020年までに400万kWの原子力発電設備を建設することを計画中。すでに中南部に位置するニン・トゥアン省の2地点をサイト候補地として選定済みであり、20年までにそれぞれのサイトに2基、200万kWずつ合計4基を建設することが計画されている。

国家評価委は委員長のフック計画投資大臣を含め、関係する商工省や科技省の副大臣など合計20余名の委員で構成され、原子力発電の必要性や社会的、技術的問題について内容を審査することになる。

今後の計画としては、現在関連省庁が審査しているプレFSを2009年5月頃に目処に「投資報告書」として国会に上程する予定。その一方で、09年の早い時期から原子力・再生可能エネルギー計画先行投資委員会(NRPB)が、国内および海外のコンサルタントを使ってFSを実施することが計画されている。FSの具体的な内容についてもMPIに設置された評価委員会が決定することになる。


Copyright (C) 2008 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.