[原子力産業新聞] 2008年10月2日 第2447号 <1面>

IAEAの次期事務局長に天野大使を正式に擁立

政府は、ウィーン国際機関代表部大使の天野之弥氏を国際原子力機関(IAEA)の次期事務局長に9月25日、擁立することを表明した。麻生太郎首相が同日の国連総会の一般演説の中で明らかにしたのを受けて、本人もウィーンで記者会見した。

現在の3期12年務めたM.エルバラダイ事務局長の任期は、来年11月まで。

天野大使は、外務省の軍縮不拡散・科学部長を務めたほか、国際的にも2005年から1年間IAEA理事会議長、07年4月末からの核不拡散条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会の議長を務めた。

日本は、次期事務局長として最適な候補と考えており、今後、各国からの支持を得るべく全力を尽くす。外務省全体として取り組むため、9月26日付けで外務大臣を本部長とする「次期IAEA事務局長選挙対策本部」を設置した。

10月6日の理事会で選挙関連の具体的な手続きが決定され、立候補を今年末まで受付ける。

来年3月まで理事会議長による非公式協議が行われ、その結果は同月の理事会に報告。その時点で候補者が1人に絞られていない場合は、投票プロセスに入る。IAEA理事会は、35の理事国から構成され、当選には3分の2(24票)以上の支持が必要となる。来年6月の理事会までに投票プロセスを通じて候補者を1人に絞り込み、同理事会で任命予定。同9月総会で正式に第5代新事務局長を承認する。任期は来年12月から2013年11月までの4年間。

IAEAは独自の憲章を持ち、原子力研究開発の促進と核不拡散を業務の二本柱としており、加盟国145か国、通常予算約3億ユーロ、職員数約2,300人。


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